南シナ海領有権問題

南シナ海のスプラトリー諸島(中国表記:南沙諸島)、パラセル諸島(中国表記:西沙諸島)などの領有権をめぐる中国・台湾とASEAN諸島との対立。
海底油田・天然ガス埋蔵が予測されるために、近年、著しく中国が軍事活動を強め、対立が深刻化しています。
中国は南シナ海の8割に及ぶ管轄権を一方的に宣言、ASEANのベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイと鋭く対立しています。

2013年5月には、南シナ海で、中国とベトナム当局の船がにらみ合いを続ける中、双方が衝突する新たな映像を公開しました。
こうした中、アメリカのケリー国務長官は、中国に対して、攻撃的な行動に出ないよう、自制を求めています。
南シナ海のパラセル(西沙)諸島付近で、互いに接近し、放水し合う、2隻の船舶。
映像は、ベトナム国営メディアが報じたもので、中国海警局の船舶が、ベトナム海上警察の船に、体当たりや放水を加えたため、ベトナム側も放水で応じたとしています。

▼中国、対ベトナム沈静化の動き 南シナ海領有権問題(14/05/08)▼

両者は、2002年に南シナ海問題の平和的解決、未占有の島に新たな建築物構築や居住を自制する「南シナ海行動宣言(DOC)」に署名。

2011年7月の外相会議は、「今後の協力」指針に合意したが、「多国間協議」の文言に中国が反対、削除され、拘束力をもつ「行動規範」を採択できなかった。

その後、2012年になると、ASEAN外相会議議長国となったカンボジアに対して、中国は露骨な外交攻勢をかけました。

2012年3月に胡錦濤(こきんとう)訪問で、今後5年で両国の貿易額倍増(50億ドル)を発表、2012年5月には、中国国防相が議長国カンボジアの招きでASEAN国防大臣会合にメンバーでもないにもかかわらず出席、同時に国防相はカンボジアに軍事学校・病院建設費1億2000万元供与を発表、併せて4億2000万ドル融資(ダム建設・国道の改良・改修等向け)を発表。経済支援攻勢を続けていました。

その一方、2012年4月、フィリピン沖スカボロー礁で不法操業中国漁船をフィリピン当局が取り締まると、中国が艦船を派遣、フィリピン艦船と2ヶ月以上にらみ合い、中国はフィリピンからのバナナ輸入、フィリピンへの渡航禁止など経済的圧力。

2012年6月、ベトナムが係争諸島を領土とする海洋法を制定すると、中国はベトナム主張排他的経済水域内で天然ガス・石油鉱区を国際入札にと発表、南沙、西沙、中沙の3諸島を海南省の「三沙市」に格上げしまいた。

2012年ASEAN外相会議では、中国の意を受けた議長国カンボジアが、中国と関係国との2国間問題という中国と同じ主張を行い、共同声明にスカボロー礁への言及を拒否、外相会合はASEAN創設45年の歴史上初めて共同声明が見送られた。

引き続くARF会議においても、議長国カンボジアは議長声明で、関係各国の南シナ海での「自制」を求めたが、「行動規範」に言及せず、中国の外交攻勢に、ASEAN分裂状態がつくり出されました。

2013年には、この問題をめぐる中国の外交攻勢、とりわけ、経済力・軍事力を背景とする、極めて露骨な分断政策(ことフィリピンを対象)が強まっており、今後憂慮されています。

中国の海洋進出―混迷の東アジア海洋圏と各国対応
by カエレバ