流行の成立プロセスという観点でみると、
アベノミクスは古風な言葉に思えます。
政治家が命名してマスコミが多用した言葉だからです。
ぱっちゃり女子も、アパレル・出版・芸能が三つ巴で演出したという点で古風です。

一方で、2013年の流行には「ネット社会」が発見や命名の現場となって、いまどきの現象も多い。
悪ふざけ投稿ブラック企業も、ネット社会が発見または命名したのです。

ドラマ『あまちゃん』も、小ネタの分析に長けたネット社会の存在あってこその社会現象でしょう。

2013年の流行からは「内輪だけの常識」という隠れたテーマもみえてきます。
例えば、アイドルグループのAKB48は、恋愛禁止を暗黙のルールとしています。
だが、メンバーの峯岸みなみが自身の醜聞報道を受けて、丸刈り姿で謝罪動画を発表すると、謝罪の是非などが議論となりました。
世間は「芸能界だけの常識」を問題視したのです。

また、ドラマ『半沢直樹』では、
「銀行だけの常識」が題材になりました。
若者の悪ふざけ投稿も、友達に見せたら喜ぶだろうという「仲間内だけの常識」が問題の背景となったのです。

もう一つ「社会の不寛容」も、2013年の流行の隠れたテーマだろう。
東京・新大久保でヘイトスピーチ(差別的暴言)が飛び交った反韓デモも、若者の悪ふざけ投稿を過剰に避難したネット住民も「不寛容」の罠に陥っていまいました。

そんな中で数少ない救いになったのが、DJポリスの話題でした。
サッカー男子日本代表がワールドカップへの出場を決めた夜、渋谷駅前に立ち、
ファンの気持ちに寄り添う巧みな話術を駆使して、騒乱を未然に食い止めた警察官の話題です。

彼は高圧的対応という「警察の常識」を覆す行動でファンに対する「寛容」の精神を見せてくれました。
そして、彼の行動をいち早く発見して、DJポリスという愛称を名づけたのは「ネット社会」でした。

暮らしの年表/流行語 100年
by カエレバ